日本の民間金融機関は現在、アフリカで最も議論を呼んでいる化石燃料拡大事業のひとつ「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」を支援しています。全長1,443km、事業開発費約50億ドルの当パイプラインは、日量21万6千バレルの原油を、電気で加熱した形で、ウガンダからタンザニアのタンガ港まで輸出用に輸送するものです。
本事業は、2023年の着工を予定していますが、訴訟、人権侵害、環境破壊などの問題を抱えています。EACOPが建設された場合、数百万人もの人々が深刻なリスクにさらされ、また、国際的に認められている極めて重要な生態系が脅かされることになります。さらに、石油生産ピーク時には、年間で石炭火力発電所9基分のカーボン・フットプリントに相当する二酸化炭素(CO2)が排出されます。
三井住友フィナンシャルグループの子会社である三井住友銀行(SMBC)は、当事業の主要開発企業であるフランスの石油メジャー、トタルエナジーズ(トタル)社の財務アドバイザーであるとともに、当事業への投融資の大半を占める30億ドルのプロジェクト・ファイナンスの共同幹事行を務めています。SMBCは、EACOP事業に対する融資のアドバイザーおよび幹事を務めることによって他行よりも高いリスクを抱えており、また、当事業のESGリスクを解消する、あるいは事業から撤退するという大きな責任を負っています。
本件に関する背景説明 東アフリカ原油パイプライン(EACOP)に対する邦銀の融資について は、EACOP事業が抱える多くの環境・社会・ガバナンス(ESG)リスク、また邦銀における評判リスクと財務リスクに焦点を合わせています。また、邦銀に対しては、EACOPの環境・社会的影響に関してトタル社に異議を唱え、最終的にはEACOP事業への投融資を避けることを求めています。
***
背景説明のダウンロード
***
東アフリカ原油パイプライン(EACOP)に対する邦銀の融資について〜ESGリスクの背景は、StopEACOPおよびOil Change Internationlと共著しています。
本記事はCenter for International Environmental Lawによる “Japanese Bank Financing of the East African Crude Oil Pipeline – Backgrounder on Environmental, Social, and Governance Risk (June 2022)”を翻訳したものです。