日本の有害なエネルギー戦略

日本はアジア全域を含む世界中で、ガスや化石燃料に基づいた技術の拡大を推進しています。 気候危機に対処するため、化石燃料を段階的に削減しなければならないにも関わらずです。日本の行動は、気候とエネルギー危機を悪化させ、再生可能エネルギーへの移行を阻害します。

「日本のアジアに向けた有害なエネルギー戦略」のブリーフィングはこちらからご覧ください。

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日本は価格が変動しやすい汚いエネルギーや実証されていない化石燃料に基づいた技術への投資を終了し、
再生可能エネルギーを支援すべきです。

日本の汚い技術

  1. 液化天然ガス(LNG)は、高汚染度・高価格・高リスクで、そのライフサイクルを通して大量の温室効果ガスを排出します。
  2. 火力発電所でのアンモニアや水素と化石燃料の混焼は、石炭やガスの使用を長引かせます。
  3. 二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)は、高価で、実証されておらず、信頼できない技術です。

日本の
「グリーン・
トランスフォー
メーション(GX)」
方針の問題は
何か?

2023年2月、日本における2050年までのカーボンニュートラル達成とアジア全域のエネルギー移行の支援を掲げる「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました。

しかし、この基本方針は、日本の企業利益のために作られたグリーンウォッシュです。GXは、LNG、石炭火力発電所でのアンモニア混焼、化石燃料由来の水素、CCUSなど、化石燃料に基づいた技術に大きく依存しています。 再生可能エネルギーが安定して利用可能であり、よりクリーンかつより安価であるにもかかわらず、これらの技術を採用することは化石燃料の使用を長引かせることになります。

LNG

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2020年から2022年において、日本は国際的なガス事業に対する世界最大の公的支援国であり、年平均43億米ドルを投じています。

LNGは、石炭に比べて燃焼時の汚染物質の排出が低く、温室効果ガス(GHG)の排出が少ないと言われていますが、サプライチェーン全体におけるメタンガスの放出や、加工に必要なエネルギーを鑑みれば、石炭同様に問題です。

ガス掘削現場やガスを輸送する場所では、環境や地域社会に害を及ぼします。

アンモニアや水素と化石燃料の混焼

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日本は、石炭火力発電所で石炭とアンモニアを、またはガス火力発電所で化石燃料ガスと水素を混焼する技術に対し、多額の投資を行っています。混焼によって化石燃料を使用する発電所を延命させようとしています。

石炭とアンモニアを同量ずつ燃焼させたとしても(アンモニアを同量まで混焼するのは現在の技術では不可能ですが、仮にしたとして)、ガス焚きのコンバインドサイクル発電所と同程度のCO2が排出されます。さらに、大半のアンモニアと水素は化石燃料から製造されますが、材料となる天然ガスはライフサイクルを通じてメタンガスなどの温室効果ガスを排出します。

二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)

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CCUSは、石油やガス、石炭の燃焼時に発生するCO2が大気に放出される前に回収することを想定しています。しかし、世界中で稼働しているCCUS事業の大半は失敗している、あるいは不調であり、その多くが期待値を大幅に下回っています。現在稼働している商業用CCUS施設は、ネットゼロ目標を満たすために必要な量の3.5%にすぎません。

CCUS事業はこれまで、主に石油やガスをより多く地中から採掘するために使用されてきました。より多くの排出を生み出し、化石燃料会社に汚染まみれな利益をもたらしています。

反対の声:フィリピン

フィリピンのバタンガス州では、大規模なLNG基地建設が予定されています。計画には、8つの新規ガスプラントと7つのLNG受入基地が含まれています。この開発は、200万人以上の人々に食料や恩恵をもたらすバタンガス州のヴェルデ島海峡を脅かしています。国際協力銀行(JBIC)は、フィリピン初のLNG輸入基地を開発するアトランティック・ガルフ・アンド・パシフィック社(AG&P)の株主です。2022年10月、地元の漁業コミュニティや市民団体はAG&Pが環境法に違反しているとして、フィリピン環境管理局(EMB)に苦情を申し立てました。

反対の声:バングラデシュ

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国際協力機構(JICA)は、バングラデシュの統合エネルギー・電力部門マスタープランに関して助言を行い、LNGとアンモニア混焼の両方を推進しています。

バングラデシュは2021年12月時点で、LNG調達から発電までの一体型(LNG to Power)事業計画32件が進行中であり、その総容量は30.6ギガワット(GW)にも及びます。うち20GW分はチョットグラム管区で計画されています。これらの事業に関わる企業は、住友商事、三菱商事、JERAなど、圧倒的に日本企業が多いのです。2022年5月、チョットグラムの気候活動家たちは、これら事業への支援を打ち切るよう日本企業に圧力をかけるため、街頭で抗議活動を行いました。

反対の声:インドネシア

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2022年3月、JICAは東京電力パワーグリッド、東京電力、JERA、東電設計に対し、2060年までにインドネシアの電力部門を脱炭素化するためのロードマップの策定を委託しました。ロードマップでは、アンモニア、水素、LNG(二酸化炭素回収・貯留(CCS)併用)が主燃料として「望ましい」と位置付けられています。2022年11月、インドネシアの市民団体は日本政府に対し、「エネルギーの公正な移行」の名の下に化石燃料の寿命を延ばし、インドネシアの環境と生計手段を破壊することをやめるよう求める要請書を提出しました。

「ウクライナでの戦争は、私たちの化石燃料中毒の深刻なリスクを露呈しました。現在の危機は、後退やグリーンウォッシュの言い訳にはなり得ません。むしろ、より緊急に、より強力な行動を取り、効果的な説明責任を求める理由です。」 

(エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27 にて)

アントニオ・グテーレス国連事務総長

「LNGは欲しくない。我々の漁場を破壊してしまうから。大きなLNGのタンカーも欲しくない。バタンガス湾を破壊してしまうから。」

マクシモ・バユバイ(フィリピン・バタンガスの漁民団体連合)

©CEED

日本は、アジアのエネルギー移行を阻むのをやめて、
再生可能エネルギーへの転換支援を