COP25会場の外でアクションを行う環境活動家達

日本はCOP26で石炭やその他の化石燃料への依存を断ち切らなければなりません

日本は気候変動への対応で遅れを取っており、石炭やその他の化石燃料産業を支援することで気候危機に拍車をかけています。COP26の議長を務めるアロック・シャルマは、各国政府に「石炭を過去の遺産にする」ことを呼びかけています。世界のリーダーたちが集まるCOP26で、日本は国内外のすべての石炭火力発電所への融資を直ちに停止し、国内については2030年までに段階的に廃止すると約束すべきです。

農民の後ろに映るインドラマユ石炭火力発電所。インドネシア、西ジャワ州, インドラマユ県にて。


今年のG7サミットで、G7各国は海外の石炭火力事業への公的融資を今年末までに停止することを約束しました。それにもかかわらず、日本は今もバングラデシュのマタバリ2石炭火力発電事業とインドネシアのインドラマユ石炭火力発電事業への融資を計画しています。これは、G7コミュニケで交わされた約束に反するものです。

1200メガワット(MW)のマタバリ2石炭火力発電事業は、有毒な汚染物質の排出が予測されたり、地元の農民や漁師の生活を脅かすことなどから、バングラデシュ国内だけでなく世界中で大きな反対運動が起きています。日本政府は、インドネシアのインドラマユ石炭火力発電所の1000MWの拡張工事への融資も検討する予定ですが、すでに建設地があるジャワ島・バリ島の電力網では電力供給が過剰になっており事業は不要です。また、地域住民に対する深刻な人権侵害も起きています。

パリ協定が採択されて以来、日本は東南アジアを中心に9つの石炭火力発電所(合計9,835MW)に融資を行ってきました。

 

 

日本は2050年までにネットゼロ(排出実質ゼロ)を達成する誓約を掲げていますが、国内で石炭火力発電所を段階的に廃止する計画はありません。それどころか日本政府は水素とアンモニアの混焼を使って既存の石炭火力発電所の寿命を延ばす技術を支援しています。日本の電力会社であるJ-POWER(電源開発株式会社)は、松島の既存の石炭火力発電所を新技術「GENESIS」を使って更新する計画を最近発表し、他の古い石炭火力発電所にも同じ手法を使おうとしています。

日本政府は、褐炭水素やアンモニアをカーボンフリーにするCCS/CCUS技術の商用化を目指していますが、これは火力発電の寿命を延ばすだけです。GENESIS松島計画は、化石燃料への依存度を減らし、気候変動対策の義務を果たすことに対する日本の真剣さの欠如を示す象徴的な事業の一つと言えます。

日本政府に対して、海外石炭火力発電事業への支援中止を求める環境団体。大阪で開催された2019年のG20サミット(左)および首相官邸前(右)にて。

すべての化石燃料への融資を終わらせる機運の高まり

石炭火力を廃止し、海外の石油・ガス事業への融資も段階的に廃止していく政府が増えている一方、日本は大幅に遅れています。英国と欧州投資銀行は、すべての化石燃料プロジェクトへの国際的な融資を終わらせることを国や機関に呼びかけており、各国政府にもこうした動きへの参加を呼びかけています。

先日発表された国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー見通し」では、今年から石炭火力発電所の新規建設を中止すること、新規油田・ガス田、石炭鉱山や鉱山拡張、新規LNG(液化天然ガス)輸出事業の承認を停止すること、先進国では2035年までに、すべての国では2040年までに電力部門を完全に脱炭素化することなど、化石燃料の段階的な廃止に向けた重要な方向性が示されました。

しかし、日本政府はこのような世界的なトレンドに従わず、汚染物質を発生させ、リスクの高い、時代遅れの化石燃料技術で賭けをしています。

LNGカナダプロジェクト現場(写真提供Wilderness Committee, 2019

日本は、すべての化石燃料事業に対して世界第2位の公的資金を提供しており、2018年から2020年までの平均で毎年109億ドルを提供しています。また日本は、アジア全域でのLNG需要の拡大に主導的な役割を果たしています。2021年4月、日本はアジアのLNG市場拡大のために100億ドルを拠出する意向を表明しました。これでは数十年にもわたって新たな二酸化炭素排出が続くことになり、それを容認する余地はありません。

例えば、国際協力銀行(JBIC)は、オーストラリアのバロッサ・ガス開発とカナダのLNG輸出ターミナルへの融資を検討しています。先住民族であるウェットスウェテン族は、事業者がJBICの環境ガイドラインに反し、彼ら(ウェットスウェテン族)の「自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意(FPIC)」を得ていないにもかかわらず、この事業および関連したパイプライン事業を進めていることに対し闘っています。

日本の化石燃料への支援は、確かなものになりつつある現実を無視しています。すでに世界の多くの国で、新たな発電設備を導入する際、風力や太陽光が最も安価な手段となっており、価格の低下はさらに進んでいます。現在締結されているLNGの契約が終了する前に、再生可能エネルギーはアジア全体でより安価になっていくでしょう。

日本の化石燃料支援は、クリーンエネルギーへの架け橋ではなく、私たちが必要とする再生可能エネルギー主体の未来への障壁でしかありません。