2019年6月に大阪で開催されたG20サミットの初日、環境活動家たちはG20首脳のマスクを被り、石炭の入ったカゴを持って大阪でアクションを起こした。

G7議長国日本は、気候変動対策とリーダーシップの障害、と非難を浴びている

G7サミットに向け、日本政府は非難を浴びています。日本がG7の議長国であることを利用して、ガスやその他の化石燃料に基づく技術の拡大を推進することを止めるよう訴えるため、日本、アジア、そして世界中で気候活動家たちはアクションを計画しています。5月19日から21日にかけて広島で開催されるG7サミットにおいて、日本は、G7、アジア、そして世界のエネルギー転換を阻害することを止め、化石燃料から再生可能エネルギーへ支援を転換すべきです。

4月15日、16日に札幌で開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合で、日本政府は化石燃料と化石燃料に基づいた技術を含む「グリーントランスフォーメーション(GX)」戦略の推進を打ち出しました。しかし、イギリス、フランス、カナダの反対により、G7としては日本の実績のない技術、すなわちアンモニアと水素を石炭やガスと混焼する技術を支持しませんでした。

GXは、経済成長を促進しながら、2050年までにカーボンニュートラルを達成するための道筋を示した日本の政策です。しかし、GXは、液化天然ガス(LNG)、石炭火力発電所でのアンモニア混焼、化石燃料由来の水素、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)など、化石燃料ベースの技術に大きく依存する日本の企業利益につながるグリーンウォッシュです。

G7大臣会合での日本の露骨なGX推進は、G6諸国からの反発とメディアからの批判を招きました。G6政府の関係者は、日本をG7のエネルギー転換の課題における「障害物」と呼んでいます。会合後の報道は、日本の気候変動に対する野心とリーダーシップの欠如アンモニア混焼の実現性の低さガスと石炭に対する日本の執拗な関心などを強調しました。

ガスを含む化石燃料への融資を打ち切らないG7

昨年のG7サミットで、各国政府は、2022年末までに化石燃料事業への国際的な公的支援を終了することを宣言しました。札幌の大臣会合では、排出削減対策が講じられていない化石燃料エネルギー部門への国際的な公的直接支援を「終了」させたと祝辞を述べました。しかし、最近の分析によると、英国、カナダ、フランスが国際的な化石燃料金融を停止した一方で、日本、イタリア、ドイツは停止しておらず、2023年に入っても新たな化石燃料投資さえ承認しています。

2020年から2022年の間、国際的なガス事業に対する世界最大の公的支援国である日本に押され、札幌会合のコミュニケ(声明)は、潜在的な市場の不足に対処するためにガスへの投資を「適切に行うことができる」と記載され、昨年の公約を破ったとも言えます。

この抜け穴は、国際エネルギー機関(IEA)の新規ガス投資に対する警告と矛盾しています。IEAはG7のために分析を発表し、先進国でガス需要が減少すると予想する「世界エネルギー見通し 2022」のシナリオを再確認しています。さらにIEAは、地球温暖化を1.5℃に抑えるためには、建設中の既存のLNGプロジェクトも未稼働のままとし、既存のLNG設備を早期に廃止する必要があると警告しています。

日本政府によるコミュニケの “解釈”

他のG7諸国は、日本が推進するアンモニアや水素と化石燃料との混焼を支持することを拒否しましたが、日本政府国内メディアはG7コミュニケの文言を正確に伝えず、これらの技術がネットゼロへの道において果たす役割をG7が肯定しているかのような印象を与えています。

しかし、学者政治家アナリスト環境団体等は、脱炭素化対策としての混焼の実現可能性、経済性、効率性を疑問視しています。石炭とアンモニアを同量燃焼させても、ガス火力発電所と同程度のCO2が排出されます。また、アンモニアや水素の多くは化石燃料から製造されるため、大量の排出量も発生します。

日本政府は、今回の閣僚会合の主要な成果として、「各国の事情に応じた多様な道筋の下で、ネットゼロ(実質ゼロ)という共通のゴールを目指す」方針に合意したことを強調しています。日本政府の理解では、脱炭素化の道筋は各国の 「事情 」によるため、ガス事業への投資や化石燃料を使った技術も選択肢として認められることになります。

350 Japan、Fridays for Future Sapporo、Fridays for Future Furanoは、気候・エネルギー・環境大臣会合初日の4月15日に、札幌で気候マーチを行いました。

グローバル・サウスへの化石燃料の拡大

化石燃料や化石燃料に基づいた技術への依存と推進を続ける日本がG7内で孤立する中、日本は後ろ盾とパートナーシップを求めて、グローバルサウスに注目しています。岸田首相は、G7サミットにアフリカ連合を招待しました。また、サミットの数週間前にはアフリカ大陸を訪れ、アフリカと「共に成長するパートナー 」として、日本の味方作りを目指しています。

モザンビークを訪れた岸田首相は、ニュシ大統領とモザンビークLNG事業における協力について合意しています。しかし、アフリカの市民社会のリーダーたちは、アフリカがG7から化石燃料ではなく再生可能エネルギーへの支援を望んでいるという明確な声明を発表しました。化石燃料はアフリカの発展を支えてきませんでした。何十年間も、アフリカの化石燃料採掘から得られた資源と利益は最も裕福な国々に輸出され、汚染、不平等、貧しいエネルギーアクセスが現地社会に残るのみです。

アジアでは、日本は外交力を駆使して、東南アジア諸国連合(ASEAN)で化石燃料に基づいた技術を推進しています。日本はGXを用いて、アジアのエネルギー移行を推進する上で、より支配的な役割を果たそうとしており、エネルギー関連企業は新たな輸出市場を求めています。これらの技術を推進し、化石燃料の利用を拡大しようとする日本の取り組みに対して、バングラデシュからフィリピンまで、アジア全域の市民社会団体が懸念を表明し、反意を示しています。日本や他の融資機関に化石燃料への融資を止め、再生可能エネルギーを支援するよう求める新しいキャンペーン「Don’t Gas Asia」が、アジア13都市で立ち上げられました。

Asian Peoples’ Movement for Debt and Development は、2022年9月にフィリピン・マニラの日本大使館前でアクションを実施しました。

日本がGX政策を通じて主張するように、経済成長を促進しながら気候・エネルギー危機に取り組むことを目指すのであれば、再生可能エネルギーは信頼性が高く、利用可能で、クリーンで、安価であることを認識すべきです。日本がグローバルサウスとのパートナーシップに誠実であるならば、被害を受け、最も弱い立場にあるコミュニティのに耳を傾けるべきです。今年のG7議長国として、日本は汚れたエネルギーや企業利益よりも、人々と地球を優先すべきです。

Mighty Earthは、4月15日、ワシントンD.C.の日本大使館に「Japan Loves Dirty Energy」と映し出しました。

化石燃料を強く拒否するグローバルサウス

Don’t Gas Africaは、アフリカが化石ガス生産にロックインされないことを目的とするアフリカの市民社会が主導するキャンペーンです。アフリカの市民社会のリーダー達による論説

Don’t Gas Asiaは、アジアにおける化石ガスに対する活動を拡大し、アジアにおける化石ガスに対する活動を強化させるキャンペーンです。