(写真: © Pram / Greenpeace)

問題点

私たちの地球は危機に瀕しており、コミュニティや生態系は、記録的な洪水、山火事、熱波、干ばつなどに苦しんでいます。この危機の主な原因は化石燃料です。

「各国政府は化石燃料への投融資を止めるべき」という意識が高まっており、これまでに米国やドイツなど39の政府・機関が2022年末までに海外の化石燃料事業への支援を打ち切ることを約束しました

世界トップクラスの科学者たちや国際機関も、化石燃料事業の段階的な廃止を推奨しています。例えば、強い影響力を持つ国際エネルギー機関(IEA)は、「2050ネットゼロ」シナリオにおいて、新規の石炭火力発電所や炭鉱、油田、ガス田、LNG輸出事業の中止を呼びかけています。

しかし、日本は誤った方向に進んでいます。

日本政府と日本企業は、化石燃料の拡大に対する資金支援を強化しているのです。日本が誤った解決策を支援していることは、貴重な時間の無駄使いであり、気候危機を悪化させることになります。

ガスは環境を汚染し、高価で、不必要である

日本はアジア地域でガスの消費拡大に積極的に取り組んでいます。日本は2021年4月、アジアのガス市場拡大のために100億ドルの資金拠出を約束しました。

ガス消費の拡大は、地球とコミュニティにとって最大の脅威のひとつとなっています。環境問題専門の英情報サイト「カーボン・ブリーフ(Carbon Brief)」によると、2013年から2019年までのすべての年において、ガスは石炭よりも世界の排出量の増加を引き起こしました。  

二酸化炭素の80倍以上も強力な温室効果のある汚染物質であるメタンは、ガスのサプライチェーン全体を通じて漏出しており、現在、大気中のメタン濃度は記録的なレベルに達しています。そのため、燃料を石炭からガスに転換したとしても、排出量の削減効果はほとんどありません。 

ガスは高価です。中国やインドを含む、世界人口の3分の2にあたる国々では、風力と太陽光が最も安価な新規発電源となっています。

増大する電力需要は、再生可能エネルギーと送電網の整備・管理で対応することが可能です。電池と送電網管理へ投資することにより、排出を増やさずに需要をほぼまかなえるのです。蓄電池のコストは過去10年間で80%以上減少しており、ガス輸入国においてはピーク時のガス火力との競争に勝てるようになりました。

アンモニア混焼は、環境汚染を引き起こす石炭火力発電所を延命させる

石炭火力は段階的に廃止されるべきである」という世界的な総意があるにもかかわらず、日本は、石炭火力発電所で燃料にアンモニアを混ぜて利用する「アンモニア混焼」を推進しており、環境汚染を引き起こす石炭火力発電所を延命させようとしています。アンモニア混焼技術は経済的に成り立たず、また、合意された気温目標に届くほどには二酸化炭素の排出を削減できません。 

パリ協定の目標を達成するために、日本を含むOECD各国政府は2030年までに石炭火力を段階的に廃止しなければなりません。アンモニア混焼は危険な目くらましです。

今も続く新規石炭火力発電所支援

さらに、2021年以降は新規石炭火力発電所への投融資を行わないとG7が公約したにもかかわらず、日本はマタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(バングラデシュ)とインドラマユ石炭火力発電事業(インドネシア)への融資を検討しています。

火に油を注ぐことでは、気候危機を解決できません。日本は、日本の銀行や企業の短期的な利益よりも、私たちの地球と人々の健康を優先させる必要があります。日本は、化石燃料への支援をやめなければなりません。