SMBCグループ:真のグローバルソリューションプロバイダーになるために

三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は2050年までに投資ポートフォリオ全体の温室効果ガス排出量をネットゼロにする目標を掲げましたが、国内外で石炭・石油・ガスといった化石燃料事業への支援を続けています。パリ協定1.5℃目標のために脱化石燃料が加速する世界で、座礁資産リスクを抱え込むことになります。

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SMBCグループは、リスクの大きい石炭・石油・ガスへの投融資をやめる方針を
決定し、脱炭素・森林保全への明確なロードマップを策定すべきです。

SMBCグループの
方針の問題点

  1. 日本のメガバンクで石炭産業への資金提供を2016年よりも増やしたのはSMBCだけです。脱石炭方針が改定されているものの、いまだ抜け穴があるため不十分です。
  2. 世界では石油・ガスからの脱却も進んでいますが、SMBCグループは石油・ガスについては投融資を制限する方針をもっていません。
  3. 2050年ネットゼロ目標だけでは、パリ協定1.5℃目標の達成には不十分です。ポートフォリオ全体の温室効果ガス排出量の削減について、効果的な短期・中期の目標設定が必要です。

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SMBCグループの
方針は、なぜ
不十分か?

SMBCグループは2021年に気候変動対策の新方針を発表しています。

2021年5月に発表された「気候変動問題への対策強化について」において、SMBCグループは「石炭火力発電所の新設および拡張案件への支援は行いません」と宣言しました。また、同年8月の「温室効果ガス排出量ネットゼロへのコミットメントについて」では、投融資ポートフォリオ全体での温室効果ガス排出量を2050年までにネットゼロにするとのコミットメントを発表しました。さらに同年10月、Net Zero Banking Allianceに加盟しました。

いずれも前進ではありますが、パリ協定1.5℃目標に照らせば、不十分です。

1. 石炭火力関連方針には多くの抜け穴が存在します。

気候科学によれば、OECD諸国は2030年までに石炭火力の全廃が必要です。今のSMBCグループの方針では「石炭ゼロ」への見通しを得ることはできません。

2. 石油・ガスへの支援についてはフェーズアウトの実効性ある方針がありません。1.5℃目標のためには石炭は当然のこと、石油・ガスからの脱却も必要です。

また、融資にあたって環境社会影響への配慮を求める「エクエーター原則」に参加している三井住友銀行(SMBC)は、2016年から2021年9月までの期間、同原則下で 世界最多件数の化石燃料プロジェクトを支援しており、評判リスクと座礁資産リスクに直面しています。

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気候科学の共通認識
「化石燃料拡大の余地はない」

1.5℃目標を達成するには、CO2を排出できる量はほとんど残っていません。科学に基づき、国連事務総長も、先進国は2030年までに、途上国は2040年までにそれぞれ石炭火力ゼロを求めています。国連環境計画(UNEP)は、各国が計画通りに石油・ガス生産を行えば1.5℃目標は守れなくなると警告しています。石炭は当然、ガスや石油も、新規計画はもちろん、既存のインフラの縮小を進める必要があります。

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石炭の方針に多くの
「抜け穴」

石炭火力発電所の新設および拡張案件への支援は行いません」としていますが、以下のような抜け穴が存在しています。

(a) 既存案件への支援は継続。
(b) CCUSやアンモニア混焼など、削減効果が実証されず経済性にも乏しい技術への支援が可能。廃止すべき発電所の延命に繋がる恐れ。
(c) 方針はプロジェクトレベルのみに適用され、石炭依存度の高い企業への融資は継続。
(d) 石炭採掘は山頂除去方式以外は支援継続。
(本方針は5月に改定予定
(e) 石炭火力のフェーズアウト目標もプロジェクトファイナンスのみで企業融資、石炭採掘は対象外。

例えば、2020年12月に支援を決定したとみられているベトナムVung Ang2石炭火力プロジェクトには環境団体・気候活動家のみならず、世界の投資家からも懸念の声が上がっていました。

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石油・ガスの方針強化を

SMBCグループは、石油・ガス案件の支援の検討にあたって「環境社会影響の評価をする」としていますが、パリ協定に照らせば、「支援をやめる」との方針が必要です。例えば、フランスの銀行「ラ・バンク・ポスタル」は、2030年までに石炭企業だけでなく石油・ガス企業への支援をやめる方針を掲げています。

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【事例】東アフリカ原油パイプライン計画

ウガンダとタンザニアを結ぶ世界最長1,443kmの原油輸送インフラ「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」を新設する計画があります。EACOPによって、何万人もの住民が住む場所を追われ、貴重な生態系のある国立公園が破壊されるだけでなく、年間3,400万トン以上のCO2排出増につながる懸念があります。現地住民を含め、世界中で強い反対の声があがり、この計画への支援取りやめを表明する銀行が続出しています。SMBCはこの計画のフィナンシャルアドバイザーであると見られていますが、支援取りやめを求める市民の声に無回答です。

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具体的なロードマップなしの「2050年ネットゼロ宣言」

2050年カーボンニュートラルを宣言しただけでは1.5℃目標は達成できません。2025年、2030年、2040年といった短期・中期の具体的なロードマップが必要です。新規そして既存の化石燃料事業への拡張支援をいつまでにやめるか、いつまでにどのようにして化石燃料支援からフェーズアウトするかを示す具体的な計画が必要です。さもなくば、カーボンニュートラル宣言は、絵に描いた餅になり兼ねません。

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化石燃料の拡大への支援を継続

SMBCグループは 約1090億米ドルを化石燃料に資金提供し(2016年から2021年まで)、そのうち34%は化石燃料を拡大する上位100社に提供されました。SMBCグループは特にLNG(液化天然ガス)セクターで世界第4位、北極圏の石油・ガスセクターで世界第8位の資金提供を行い、他の日本のメガバンクを凌駕しています。 また、他のメガバンクが支援を留保するような、より環境影響の大きな化石燃料インフラ計画を積極的に支援しているケースも目立ちます(EACOP、アークティックLNG2など)。 脱化石燃料の方針を強化すれば、気候危機の回避に貢献するだけでなく、評判リスクや座礁資産リスクを回避し、気候変動対策のリーダーシップを示すことができます。それこそが、SMBCグループが真の「グローバルソリューションプロバイダー」になる道です。

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「私たちの化石燃料への中毒症状は、人類を破滅の瀬戸際まで追い込んでいます。…多くの国々が、国際的な石炭関連融資から撤退しました。 …私は、先進国と新興経済国が協力体制を築き、経済の脱炭素化と石炭利用の廃止を加速させるための財政的・技術的状況をつくり出すよう要請します」(COP26グラスゴー会議にて)

アントニオ・グテーレス国連事務総長

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「(SMBCが関与するEACOP計画によって)この地で石油開発が始まってしまうと、石油を掘り出すための重機が建設されます。それは地域生態系にとっての”死”を意味します。湖の魚、すべての漁業資源の終わりです。」

レオナルド・ワスワ(エドワード湖カトウェ村の漁師)

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