公的資金
日本政府は、化石燃料に対して世界最大級の公的資金を提供しています。日本は2020年から2022年にかけて、海外のガス、石炭、石油事業に毎年平均で69億ドルを提供しました。
海外事業への資金提供を行っている日本の公的金融機関はすべて、化石燃料支援におけるリーダー的存在となっています。日本は、化石燃料への支援において、世界トップクラスの開発支援を行っています。開発金融を提供する日本の3つの機関、国際協力機構(JICA)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)および日本政策投資銀行(DBJ)は、2020年から2022年にかけて化石燃料事業に年間15億ドル以上を提供しました。
日本の輸出信用機関(ECA)の化石燃料への支援額は、世界第3位となっています。日本の輸出信用機関である国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)は、化石燃料に年間約54億ドルを提供してきました。
米国やドイツなどの先進国政府が海外の化石燃料事業に対する支援を打ち切ろうと動いているなか、日本は支援を拡大しています。
2021年4月、日本はアジアの液化天然ガス(LNG)市場の拡大のために100億ドルの拠出を約束しました。また、LNGや再生可能エネルギー事業の資金としてASEANのエネルギー担当大臣に100億ドルの支援を提案しました。
ガスと石炭の拡張余地はないという認識が広がっているにもかかわらず、日本はJOGMECの任務を拡大し、中流LNGインフラに関わる日本企業への融資を可能にしました。JBICは2021年、環境汚染を引き起こすことが懸念されるバロッサガス田開発事業(オーストラリア)に3億4600万ドル、先住民族の激しい抵抗に直面しているLNGカナダ事業(カナダ)に8億5千万ドルの融資を承認しました。
日本政府は2021年6月、「インフラシステム海外展開戦略2025」を改訂し、「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を2021年末までに終了する」としました。 しかし、日本の公的金融機関は、石油・ガスへの支援に何の制約も設けていません。
日本の化石燃料事業への支援は、気候変動に関する目標を損ない、私たちの地球と地域社会を危険にさらしているのです。