今、変革の波が訪れています。世界各地で、石炭火力発電所の建設がストップしています。それにもかかわらず、この波に逆らうかのように、日本政府は引き続き、環境汚染につながる石炭火力発電所の建設計画をバングラデシュおよびインドネシアの2ヶ所で進めています。環境危機を未然に防ぐために十分な二酸化炭素排出量を減らしていくには、2040年までに世界で全ての石炭火力発電所の運用をやめなければなりません。

日本では、今年10月に新たな総理大臣が就任します。そのため世界からは、日本の気候問題へのコミットメントがどれほど本気であるのか、注目が集まっています。今年6月のG7首脳宣言では、海外の新規石炭火力発電所への直接支援を終了する旨のコミットメントが示されました。日本はこの宣言に従わなければなりません。日本にとっては今こそ、クリーンなエネルギーへの支援に舵を切り、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを達成するという日本の目標に見合った投資内容に転換するチャンスなのです。

化石燃料インフラへの海外投資をやめるよう、日本政府にメッセージを送りましょう。

バングラデシュ：マタバリ

日本は現在、出力1,200MWとなるバングラデシュのマタバリ第2石炭火力発電所（第3&4号基）の環境影響評価（EIA）を実施しており、その後資金提供の検討に進む予定です。この発電所は、現在建設中の出力1,200MWのマタバリ第1石炭火力発電所（第1&2号基）の隣に建設予定です。バングラデシュおよび世界からは、大幅な予算超過および計画の遅れ、PM2.5および水銀を含む有害汚染物質が多く排出されるとの予測、ならびに地元の農家および漁民の生活基盤を脅かす可能性を懸念し、大きな反対の声が上がっています。マタバリ第1発電所は、建設にあたってコヘリア川を違法に埋め立てたとして、バングラデシュ高等裁判所からこのほど建設の差し止め命令が出ています。活動家からは地元の法律に違反するプロジェクトは資金提供対象として不適切であるとして、JICAによる資金の貸付の一時停止を求める声が上がっています。

日本は、2つ目の石炭火力発電所を建設することで、マタバリ第1発電所のプロジェクトの失敗を繰り返すべきではありません。代わりに日本は、バングラデシュが気候脆弱性フォーラムの議長国としての立場に見合うよう、クリーンなエネルギーに転換していく支援をすべきです。

インドネシア：インドラマユ

日本政府は、インドネシアの西ジャワ州インドラマユ県にある石炭火力発電所の出力を1,000MW拡張するプロジェクトの計画段階にあります。地元の市民社会は、このプロジェクトの構想初期とは状況が変わっていると指摘しています。現在ジャワ島およびバリ島の送電網は電力供給過多の状態であり、この発電所の拡張は不要となっているのです。このプロジェクトでは、最先端の汚染対策がとられる計画になっておらず、大量のSOx、NOx、およびPM2.5が排出されると見込まれているため、地元住民の健康被害が懸念されます。また、農地を奪われることに反対の声をあげている住民らが、無実の罪を着せられて収監されるなど、深刻な人権侵害も起きています。インドネシアを今後数十年にわたって二酸化炭素排出量の多い国にしてしまうのではなく、今こそインドネシアが石炭依存から脱却する支援をすべきです。

世界には今、変革の波が訪れています。今こそ日本は、その波に乗って化石燃料を過去のものにすべきです！