化石燃料への投融資を止め、再生可能エネルギーへの公正な移行を加速するよう日本政府・企業に働きかけるために、世界中の市民団体や市民運動が集まりFossil Free Japanを立ち上げました。是非Fossil Free Japanのウェブサイトをご覧いただき、私たちのキャンペーンにご協力ください。
日本政府は2018年から2020年にかけて、海外のガス、石炭、石油事業に毎年平均109億ドルを提供し、化石燃料への公的融資額において、カナダに次いで世界第2位となっています。2019年だけでも48億ドルをロシアの化石燃料事業の支援に投じており、さらに2021年11月には国際協力銀行(JBIC)がロシアの液化天然ガス(LNG)事業「アークティックLNG2事業」への10億ドル超の融資を承認しています。これは、現在のプーチン大統領による対ウクライナ戦争を考えると特に問題であり、化石燃料事業に対する日本の公的融資をやめることを最優先すべき理由がさらに増えたと言えます。
ガス拡大を推進
日本は、LNG事業を中心に、アジア全域のガス消費量およびインフラ事業の拡大において中心的役割を果たしています。このようなガスインフラの拡大はパリ協定の目標と整合しません。一方で、クリーンな代替エネルギーはすでに利用可能であり、エネルギーへのアクセスや持続可能な開発のニーズ実現に適し、すでに安価であり、あるいは数年以内に割安になると見込まれることが、研究によって示されています。
2021年4月、日本はアジアのLNG市場を拡大するために100億ドルの拠出を約束しました。さらにその数ヶ月後、LNGや再生可能エネルギー事業の資金としてASEANのエネルギー担当大臣に100億ドルの支援を提案しました。2022年8月、Japan Energy Summitが日本で開催されます。このサミットは、LNGとガスに焦点を当てており、経済産業省が支援しています。
先住民族の権利を侵害
日本は、先住民族の権利を侵害する事業を支援しています。JBICは2021年、環境汚染を引き起こすことが懸念されるバロッサガス田開発事業(オーストラリア)への3億4600万ドルの融資を承認しました。バロッサガス田開発事業は、ノーザンテリトリー準州の沖合に位置するガス開発事業であり、オーストラリアで最も汚染度の高いガス事業のひとつになる恐れがあります。二酸化炭素回収・貯留(CCS)による排出回収の計画には問題があり、仮に成功したとしても、排出量の30%程度しか削減できません。JBICには、先住民族から「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」を得る義務がありますが、ティウィの人々との意味のある協議は全く行われていません。
JBICは2021年10月、カナダ・ブリティッシュコロンビア州キティマットで進められているLNGカナダ事業への8億5000万ドルの融資を承認しました。先住民族ウェットスウェテン族(Wet’suwet’en)は、当事業に関連するコースタル・ガスリンク・パイプラインの建設を止めるために闘っています。このパイプラインは、水圧破砕法(フラッキング)によって採取されたガスをLNGカナダ事業のターミナルに運ぶために使われることになっています。また、JBICの融資決定は、先住民族からの「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」に関するJBICのガイドラインに違反しています。
環境汚染を引き起こす石炭火力発電所を延命する技術を推進
日本は2021年末までに海外の石炭事業に対する投融資を停止するとG7で約束したにもかかわらず、既存の石炭発電所で「アンモニア混焼」を推進しています。アンモニア混焼技術は、廃止されるべき発電所を延命させ、また、経済的にも成立しません。ブルームバーグNEFは、日本において石炭発電所で20%のアンモニア混焼を行った場合、石炭火力発電のLCOE(均等化発電原価)が現在の水準から86%増加し、2040年の時点ですら59%の増加になると試算しています。
日本最大の電力会社であるJERAは、アンモニア技術の開発に6億ドルを投じることを計画しており、その70%は政府の気候変動対策のための基金から拠出される予定です。萩生田光一経済産業相は最近、インドネシアとアンモニア技術で協力し、シンガポールと水素およびアンモニアのサプライチェーンを構築し、タイの脱炭素化への道筋のマッピングを支援し、ロシアとアンモニアの生産を拡大するために、覚書を各国政府と交わしています。
高まる脱化石燃料の動き
「各国政府は化石燃料への投融資を止めるべき」という意識が高まっており、これまでに米国やドイツなど39ヵ国の政府・機関が2022年末までに海外の化石燃料事業への公的支援を打ち切ることを約束しました。
世界トップクラスの科学者たちや国際機関も、化石燃料事業の段階的な廃止を推奨しています。例えば、強い影響力を持つ国際エネルギー機関(IEA)は、画期的な「2050年までのネットゼロ(Net Zero by 2050)」報告書のなかで、新規の石炭火力発電所や炭鉱、油田、ガス田、LNG輸出事業の中止を呼びかけています。
しかし、日本は誤った方向に進んでいます。日本が誤った気候変動解決策を支援していることは、貴重な時間の無駄使いであり、気候危機を悪化させることになります。Fossil Free Japanに参加し、化石燃料の終焉を早めるために力を貸してください。