Oil Change Internationalの最新の分析によると、主要国数カ国が、2022年末までに化石燃料への国際的な公的支援を終了させることを約束したにもかかわらず、化石燃料の国際事業に44億ドルの公的資金を投入し続けていることが明らかになりました。
日本を含む、米国、ドイツ、イタリアの6カ国において、少なくとも26の化石燃料事業が検討中であり、中でもドイツは最多です。これらの国々からの公的資金の投入をなくせば、地球温暖化を1.5℃以下に抑えることと相容れない化石燃料事業の進展を阻むことができるかもしれません。
新たな化石燃料ファイナンス違反プロジェクト・トラッカーによれば、グラスゴー声明(2021年のCOP26で採択された重要な声明)に署名した16の最大国際公的資金提供国及び機関の大半は、期限経過後も声明の約束を守り、化石燃料事業を支援していません(ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ニュージーランド、ポルトガル、スウェーデン、スペイン、イギリス)。しかし、いくつかの主要国は、約束に反して化石燃料事業への支援を続けています。
停止を約束したにもかかわらず化石燃料事業への融資を続けている主な国は以下の通りです。
- 米国は2023年、これまでで最も多くの化石燃料融資を承認しており、4つの事業に対して合計15億ドルを提供しています。米国は化石燃料への国際的な公的融資を終了させるという公約を実行する方針を採択したと報じられていますが、その方針の公表を拒否しています。バイデン政権は、2021年の大統領令やグラスゴー声明への支持にもかかわらず、国際的な化石燃料事業の承認を続けているとして大きな批判を浴びています。
- ドイツは、対象国のうち最も多くの化石燃料事業の支援を検討していて、少なくとも9件の化石燃料事業が公的支援の対象として承認待ちです。同国は、2023年までに3つの事業に対して4億7,200万ドルの融資を承認しており、米国からの30億ドル相当の液化天然ガス(LNG)納入を事前要請しています。また、ドイツは最近、化石燃料事業への融資を制限する新しい協議用の政策草案を発表しましたが、内要はあいまいな表現で、グラスゴー声明の公約内要には程遠いものです。
- イタリアは、3つの事業に対して約12億ドルの融資を今年承認しており、グラスゴー声明署名国のうち、2番目に大きい化石燃料事業融資国となります。今年初めに発表された同国の化石燃料事業への融資方針は、気候変動活動家によって「クラス最悪」とみなされています。
- 日本は、化石燃料事業に対する世界最大の公的支援国のひとつです。また、日本はG7国として、グラスゴー声明の公約とほぼ同じ内容である国際的な化石燃料事業への公的支援を終了させるという2022年6月のG7の公約に合意しています。しかし、日本は2023年に少なくとも3つのプロジェクトに対して4億4900万ドルの融資を承認しています。