本日、国内外の市民団体が、G20の議長国に就任した日本の安倍晋三首相に対し、気候変動対策における行動強化を求め、国会議事堂前でアクションを行いました。
日本が正式にG20の議長国に就任したことを受け、世界が日本のリーダーシップ発揮に注目しています。様々な地球規模の課題がある中、気候変動問題については、安倍首相自身も、2018年9月にフィナンシャル・タイムズにおいて、気候変動対策のイニシアチブを取ることをコミットしています。また、パリ協定に基づく気候変動対策に関する長期戦略の策定プロセスが、日本政府内で進んでおり、政府はG20 までの策定を目指しています。
世界では、温室効果ガスを最も排出する石炭火力発電からの脱却が進んでいますが、日本はいまだに国内および海外で石炭火力を推進しており、国内外から批判の声が上げられてきました。さらに本日4月18日付のフィナンシャル・タイムズでも、安倍首相に気候変動対策におけるリーダーシップを発揮し、脱石炭へと舵を切るよう国際市民社会からの意見広告が掲載されました。
気候ネットワーク理事・平田仁子氏は「気候変動の影響は日本でも顕著になってきた。英国やカナダなど他の先進国が脱石炭に舵を切る中、先進国の中で最も石炭を支援している日本は国際社会から厳しい目で見られている。
政府内ではパリ協定に基づく長期戦略の策定が進んでいるが、石炭火力の推進の方針転換を示さない長期戦略は、全く不十分である。安倍首相は国際社会の、そして日本国内の声を聞き野心的な長期戦略を策定し、脱石炭への舵とりをすることで真のリーダーシップを発揮すべきだ。」と述べている。
また、米国の環境団体Oil Change InternationalのSusanne Wong は「日本はG20の中でも最も公的資金を使って化石燃料支援を行なっている。過去、G20は化石燃料補助金の段階的な廃止をコミットしている。今回のG20で具体的なステップを含む踏み込んだ議論をしてほしい。」と求めた。
国際環境NGO FoE Japanの波多江秀枝は「日本による石炭火力発電所の輸出支援がもたらすのは、気候変動影響だけではない。日本の官民が海外で進めている石炭火力発電事業の現場、たとえばインドネシアやベトナムでは、住民が弾圧・人権侵害を受けたり、生計手段を失うなど無視できない問題が起きている。G20では、『質の高いインフラ』も日本政府の重要アジェンダとなっているが、気候変動を加速させることに加え、地元の生活を破壊するようなインフラ輸出は、住民の声に耳を傾け、即刻中止すべきである。」と釘を刺した。
韓国の環境団体 Solutions for Our ClimateのJoojin Kimは「日本に並び、韓国も石炭火力に多額の公的支援を行なっているが、近年、国内での大気汚染影響が深刻化し、韓国全土で脱石炭を求める声が高まっている。石炭火力の輸出に関しても、与野党両者から、批判の声が上がっている。日本も韓国も再生可能エネルギーや省エネなどの技術で国際協力が可能だ。」とコメントしている。