日本は、化石燃料の段階的廃止が急務であるにもかかわらず、アジア全域で液化天然ガス(LNG)やアンモニア混焼のような化石燃料に基づいた技術の拡大を推進しています。これによって気候危機は悪化し、コミュニティや生態系は被害を受けることになります。再生可能エネルギーに基づいたシステムへの移行を妨げる日本の取り組みに反対するために、コミュニティや市民団体が、特にグローバルサウスで立ち上がっています。
日本政府は、国外の化石燃料事業に対する公的支援額において、世界第二位となっており、国外のガス事業に対する世界最大の公的支援国です。日本は、2022年末までに化石燃料に対する国際的な公的直接支援を終了するというG7での約束を破り、2023年も国外の化石燃料事業に対する支援を続けています。日本はまた、米国のキャメロンLNG輸出ターミナルの拡張やベトナムのブロックB-オモンガス事業など、少なくとも8つの化石燃料事業への支援を検討しています。
一方、日本以外の国々は、政府による化石燃料への公的支援の段階的廃止を進めていて、代わりに資金拠出の対象を再生可能エネルギーへと移しています。これは止めようのない流れで、加速するにつれ、日本はますます孤立していくように見受けられます。
日本の主張とは裏腹に、ガス事業に対する支援はエネルギー安全保障を損ない、化石燃料が引き起こすエネルギー危機を長引かせることになります。国際エネルギー機関(IEA)は、権威ある「世界エネルギー見通し」の2023年版のなかで、石油、ガス、石炭の需要がこの10年で頭打ちとなることを示し、また、世界がパリ協定の1.5度目標を守るためには、新たな石油・ガス投資は一切許されないことを確認しました。IEAは2022年にも、「2050年までに排出量実質ゼロ(ネットゼロエミッション)を目指す世界において、ロシアの侵攻が、相次ぐ石油・ガスの新規インフラ建設を正当化できるとは誰も考えるべきではない」と述べています。つまり、化石燃料へのこれ以上の公的支援は、エネルギー危機を解決するどころか、悪化させるだけなのです。