2019年5月23日
プレスリリース
国際協力銀行が環境社会配慮ガイドライン違反
住民移転計画を入手せず石炭火力発電事業への融資を決定
FoE Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
メコン・ウォッチ
本日、日本の環境団体4団体による連名で、国際協力銀行に対し、「バンフォン1石炭火力発電事業に関する国際協力銀行の環境社会ガイドライン違反について」と題する意見書を提出しました。
国際協力銀行は本年4月19日、住友商事株式会社がベトナムで進めるバンフォン第一石炭火力発電事業への融資を決定しました[1]。同案件に関しては、これまでも低効率の石炭火力発電事業への融資を制限するOECD の公的輸出信用アレンジメントへの違反や、事業が現地の大気汚染を悪化させ気候変動を加速させること、地元住民らが適切なコンサルテーションを受けていないことなどを指摘してきました[2]。
今回、国際協力銀行とNGOの面談において、国際協力銀行が融資決定前の環境レビュー時に、「住民移転計画」を入手していなかったことが明るみになりました。同銀行のガイドラインによれば、同案件が該当するカテゴリA(環境への重大で望ましくない影響のある可能性を持つようなプロジェクト)については、大規模な非自発的住民移転または大規模な生計手段の喪失が発生する場合にあたっては、借入人等からJBICに対し、住民移転計画(必要に応じ生計回復計画を含む)の提出が必要とされています。バンフォン1では、97世帯(379人)の非自発的住民移転が発生するため、ガイドライン上は大規模な非自発的住民移転に相当し、住民移転計画を入手していないことは、明確なガイドライン違反です。
意見書では、国際協力銀行はバンフォン1への貸付実行をまずは停止し、住民移転計画等の提出を受けた後に環境レビューをやり直すべき、と指摘しました。また、今回のガイドライン違反について精査を行い、再発防止のための措置を講じるよう強く要請しました。
詳しくは意見書をご覧ください。
連絡先:国際環境NGO FoE Japan (担当:深草, fukakusa@foejapan.org)
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9 tel: 03-6909-5983 fax: 03-6909-5986
[1] 国際協力銀行プレスリリース「ベトナム社会主義共和国バンフォン1石炭火力発電事業に対するプロジェクトファイナンス」2019年4月19日
https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2019/0419-012106.html
[2] FoE Japan他「地域住民や国際社会の声を無視し、新規石炭火力に支援を続ける日本
JBIC、NEXIはバンフォン1石炭火力発電への支援撤回を!」2019年4月26日http://www.foejapan.org/aid/jbic02/vp/190426.html