Jubilee Australia Research Centreは、Fossil Free JapanおよびAustralian Conservation Foundationと共同で新たな分析を発表し、豪州のガス産業によって利益を享受しているのは、一般のオーストラリア市民でも気候でもないことを明らかにした。
本報告書は、日本および韓国の企業、銀行、公的機関から成る「ガス帝国」が、自己の企業利益のためにオーストラリアのガス事業拡大に向けて資金を提供している実態を明らかにしている。
豪州のガスに対する日本による投融資
2008年から2024年の間に、日本および韓国はオーストラリアのガス事業に総額205億米ドルを投じた。そのうち64%以上は、日本の公的輸出信用機関である国際協力銀行(JBIC)によって拠出されている。オーストラリアは、「クリーンエネルギー移行パートナーシップ(CETP)」などの国際合意に基づき、国外の化石燃料事業に対する公的資金の提供を終了したが、その一方で、日本や韓国によるオーストラリア国内の化石燃料事業への資金提供は認め、奨励している。オーストラリアは、日本および韓国のCETP参加を積極的に働きかけるべきであり、国を問わず、国民が負担する税金による公的資金が化石燃料事業ではなく、再生可能エネルギーへの移行を支援するために使われるようにすべきである。
【表:オーストラリアにおける操業中のLNG輸出施設および開発中のガス事業】
本報告書はまた、日本および韓国が、化石燃料推進志向を維持するために外交ルートを通じてオーストラリアの政治家や政策立案者に圧力をかけ、密室でクリーンエネルギー政策に干渉していることを明らかにしている。日本が提唱する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」は、日本政府とその協力企業が地域の移行支援を装って化石燃料事業とその利用の拡大を推進する枠組みであるが、オーストラリアはその参加国である。現在、オーストラリアはAZECの下で12件の事業に関与しており、そのうち8件は化石燃料技術を伴う事業である。
日本の「エネルギー安全保障」の虚構
日本は、オーストラリアのガス事業に対する巨額の投資を「エネルギー安全保障に不可欠である」と主張して正当化することが多い。しかし、本報告書はこのような主張を覆し、日本のLNG購入企業が実際には過剰契約に陥っており、輸入したガスの最大3分の1をアジア諸国に転売していることを示している。言い換えれば、日本は輸入ガスを過剰に抱えており、その余剰分を用いてアジア諸国をガス依存に縛り付けているのである。日本は、フィリピン、タイ、バングラデシュなどの国々でLNG輸入基地などのガスインフラを建設することで、ガス需要を創出し、「ガス帝国」の構築を進めている。アジア地域で提案されている大規模なガス利用拡大は、炭素排出量を急増させ、また、地域のコミュニティに壊滅的な経済的・環境的・社会的リスクをもたらすことになる。
Jubilee Australia Research Centre、Fossil Free Japan、およびAustralian Conservation Foundationは、オーストラリア政府に対し、以下を要求している。これらの提言の詳細は、報告書を参考にされたい。
- 化石燃料採掘を段階的に廃止すること。その第一歩として、新規ガス事業および既存ガス事業の拡張の承認を即時に停止すること。
- オーストラリア政府のガス市場見直しにおいて、新規ガス事業または既存ガス事業の拡張を必要とする将来のLNG契約へのガス企業の参入を禁止する機会を検討すること。
- 貿易相手国との間で脱炭素に関する二国間協定を締結し、化石燃料からの秩序ある移行を相互利益のもとで支援すること。
本報告書は、オーストラリアのガス拡大が地域のエネルギー安全保障を支えるものでも、アジア諸国の再生可能エネルギーへの移行を支援するものでもないことを明確に示している。オーストラリアにおけるガス拡大は、日韓の「ガス帝国」のためのものであり、税金を納めている国民、最前線のコミュニティ、そして気候に甚大な負担や被害を強いている。