米国メキシコ湾岸、欧州、日本、その他地域の32の市民と環境団体が、米国メキシコ湾岸における液化天然ガス(LNG)事業の資金提供を行っている欧州および日本の銀行に、資金提供を停止するよう求める書簡を提出しました。
これらの団体は、銀行が米国LNGへの資金提供を中止し、損害に対する救済と補償を提供し、気候科学に整合しないすべてのLNG拡大プロジェクトおよび企業に対する金融支援を止める方針を制定し、かつ実際に運用することを求めています。この書簡は、現在米国でLNG産業への資金提供と付保に対する抗議行動が行われているタイミングに合わせて発表されました。
2024年6月28日 – 32の市民と環境団体が、米国メキシコ湾岸におけるLNG輸出ターミナルおよび企業への資金提供を行っている欧州および日本の銀行を非難し、支援を止めるよう求める書簡を提出しました。この書簡は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループおよびドイツ銀行、オランダのING銀行、スペインのバンコ・サンタンデール、フランスのクレディ・アグリコル、BNPパリバ、ナティクシスおよびソシエテ・ジェネラル、イタリアのインテーザ・サンパオロに宛てられており、これらの銀行がLNGの拡大に対して数十億ドルを提供してきたことが指摘されています。
書簡は、テキサス州とルイジアナ州におけるLNG輸出ターミナルが地元コミュニティの健康、環境および自然、気候に与える深刻な影響について警告しています。LNGインフラは、低所得者、移民、先住民族コミュニティ、および地域の大多数を占める有色人種コミュニティに対し、不公平に影響を与えています。いくつかのプロジェクトは、地域の先住民族の神聖な場所で行われています。テキサス州リオグランデバレーのLNGプロジェクトの開発者は、カリソ/コメクルド族から自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)を得ておらず、これは先住民族の権利を侵害しています。これらの地域でのLNG建設計画は、「犠牲ゾーン」および環境的人種差別をさらに悪化させます。
この書簡は、メキシコ湾岸から約200名のコミュニティオーガナイザーおよび現地リーダーがニューヨークのシティバンク本社への大規模な行進と行動を行った同じ日に発表されました。この行動は、ニューヨークで行われた気候危機を訴え行動を求めるアクション「Summer of Heat」の一環であり、化石燃料産業を支援する銀行、投資家、および保険会社を対象としています。今週初めには、コミュニティオーガナイザーと現地リーダーが、バンク・オブ・アメリカ、ブラックロック、MUFG、みずほ、および保険会社のチャブとAIGなどを対象にアクションを起こしました。6月27日木曜日には、ドイツ銀行、ING、クレディ・アグリコルおよびバンコ・サンタンデールの支店も訪問しました。
署名団体は、銀行に以下を求めています:
- メキシコ湾岸での新規LNGインフラプロジェクト、つまりまだ資金調達が完了していないプロジェクトへの直接的な資金提供を公に中止すること
- 銀行が資金提供したLNGターミナルによる既存の影響に対し、地元コミュニティが決定する形での救済と補償を提供すること
- LNGターミナル、パイプライン、および既存のLNGターミナルの拡張を含むすべての新規「中流」プロジェクトへの直接的な資金提供を直ちに除外する方針を導入すること
- LNGセクターをいまだ拡大している企業、つまり新規LNGターミナルや施設を建設している、または計画している企業への融資、株式および債券発行の引受、その他の金融サービスを除外する方針を導入すること
「工業汚染に囲まれたコミュニティで暮らすことで、子供たちは病気になり、空気と水は汚染され、地元の漁師たちは生計を失っています。環境的人種差別への資金提供を止めることで、銀行は体系的な不平等を解消し、すべてのコミュニティが清潔で公正な環境で生活できる未来を実現することができます」と、ルイジアナ州のベッセルプロジェクトの創設者であるロシェッタ・オザン氏は述べています。
「欧州および日本の銀行がすでに署名しているすべての任意なリスク管理およびステークホルダーエンゲージメントフレームワークでは、人権および先住民族の権利を侵害するプロジェクトへの資金提供を防ぐことができないことは明らかです。今週ニューヨークで行われているSummer of Heatの行動と公開書簡は、メキシコ湾岸および世界中の共感者からの反対が強くなっていることを示しています。メキシコ湾岸でのLNGプロジェクトへの資金提供を続けることのレピュテーションリスクや法的リスクは非常に大きく、今後も増大するでしょう。人権をしっかり考慮しリスクを最小化するためには、すべての石油およびガスの中流プロジェクトや関連企業に対する排除方針を実施することが唯一の適切な、意味のある賢明な選択です」と、バンクトラックの気候キャンペーナー兼研究者であるヘンリエケ・ブタイン氏は述べています。
「銀行は気候変動に対し行動すると宣言していますが、一方で気候を破壊するLNGプロジェクトに資金提供を続けています。LNGは「移行燃料」ではなく、気候とコミュニティにさらに損害をもたらすものです。日本の金融機関や投資家は、特にメキシコ湾岸地域で新規および拡大プロジェクト、例えばフリーポートLNG、キャメロンLNG、リオグランデLNGを積極的に支援しています。空虚な言葉ではなく行動が必要です。銀行は化石ガスプ事業への支援を停止する厳格な方針を導入するべきです」と、FoE Japanの事務局次長である深草亜悠美氏は述べています。
「世界最大のLNGセクターへの資金提供者である日本のメガバンクは、世界の気候目標への公約を守る責任があります。MUFGの役員は株主に対し、先住民族の人権を含む適切な環境社会配慮や財務リスクを確認せずにプロジェクトへ資金提供しないと述べています。コミュニティと気候に不可逆的な危害を与えているLNGへの支援は認められるべきではありません。LNGのライフサイクルの排出は気候危機を悪化させています。銀行は、米国メキシコ湾岸のコミュニティを破壊しながら、汚いエネルギー使用を世界各地で固定化するのではなく、クリーンエネルギーへの投資によって真の気候リーダーシップを示すべきです」と、マーケット・フォースの日本エネルギーファイナンスキャンペーナーである渡辺瑛莉氏は述べています。