本日、30の市民団体が日本に対して共同声明を発表し、米国とイスラエルによるイランへの攻撃によって引き起こされた世界的なエネルギー危機を口実に、化石燃料推進の政策をアジア太平洋地域全体で押し進めることを止めるよう求めた。この声明は、高市早苗首相が5月1日から5日にかけて予定しているベトナムとオーストラリア訪問に合わせて発表された。
「高市首相のもと、日本はアジア太平洋地域を化石燃料の拡大と軍事化という危険な道へと導こうとしている。私たちはこのような未来像をアジア太平洋地域はもとよりそれ以外の地域においても拒否しなければならない。これ以上、武器も化石燃料も要らない」と、声明で市民団体は述べている。
声明では、高市首相の外遊を、「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(POWERR Asia)」を推進するための化石燃料セールスツアーだと批判し、同枠組みは、エネルギー安全保障を損なうことになる、と指摘する。POWERR Asiaは、日本が主導する100億ドル規模の枠組みであり、同地域が年間最大12億バレルの原油相当を確保するのに加え、LNG、バイオ燃料、原子力エネルギーの確保を支援するものである。
高市首相は、4月中旬にオンライン開催した「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)プラス」首脳会議において、「POWERR Asia」イニシアティブを発表した。日本はこれまで、脱炭素を名目に、化石燃料技術を推進する場としてAZECを活用してきた。AZECには、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の大半に加え、オーストラリアも参加している。その名称にもかかわらず、AZECの下で結ばれた覚書の30%以上は化石燃料関連のものである。「POWERR Asia」の発表により、日本はAZECを地域の脱炭素という本来の目的からさらに遠ざけ、より多くの化石燃料の確保に注力する意向である。
これらの団体は、高市首相および日本政府に対し、「地域の化石燃料依存をさらに悪化させるだけの、信頼性が低くコストの高い化石燃料 … への支援を打ち切る」よう求めている。また、化石燃料および化石燃料を基盤とする技術への公的資金提供を中止し、その資金を地域密着型の再生可能エネルギーやエネルギー効率化に向けて無償資金として振り向けるとともに、イランでの戦争を終結させるよう外交的圧力をかけるよう求めている。
市民団体は、高市首相の歴訪は外交訪問ではなく、化石燃料と武器のロビー活動が連携した攻めの行動であると指摘している。今月、高市政権は武器輸出規制をさらに緩和し、オーストラリアへ軍艦を11隻売却することに合意した。これは、日本において、戦後最大の防衛契約であり、世界有数のガスタービンメーカーである三菱重工業が受注した。
「これはエネルギー危機のさなかに近隣諸国を真摯に支援するもの」ではないと市民団体は述べている。これは、「日本が外交的・経済的圧力を用いて、地域の信頼性が高く、自立的で手頃な再生可能エネルギーへの移行を抑え込もうとする、もう一つの事例にほかならない。」
高市首相がベトナムとオーストラリアを訪問する一方、岸田文雄元首相は、首相特使およびアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)議員連盟最高顧問としてフィリピンを訪問する予定である。岸田氏は首相在任中にAZECの枠組みを立ち上げ、東南アジア全域でこの取り組みを推進してきた。
署名団体のコメント:
スヘイラ・アリ、Jubilee Australia Research Centre、気候正義ディレクター
「高市首相は、日豪友好協力基本条約署名50周年にあたる年に、オーストラリアを訪問している。同条約は、両国が相互の利益のためだけでなく、アジア太平洋地域の他国の繁栄と福祉という共通の利益のためにも協力すべきであることを認識している。現在のエネルギー危機から、太平洋諸国民の生計、安全、そして幸福に対する最大の脅威と見なされている気候変動の深刻な影響に至るまで、化石燃料の採掘と依存が、私たちの地域に壊滅的な打撃を与えていることは、今やかつてないほど明白である。軍事活動の活発化は気候危機をさらに悪化させているにもかかわらず、オーストラリア政府は日本から200億豪ドルを投じて軍艦を購入しようとしている。この資金は、教育、医療、住宅、そして信頼できる手頃な価格の再生可能エネルギーへのアクセスなど、人々が繁栄するために必要な基礎的なものに充てられるべきである。アルバニージー首相は、オーストラリアと日本の協力が地域の平和と安定を維持するために不可欠であると主張しているが、化石燃料の拡大と軍事化を通じて、一体どのように平和と安全が達成されるのか。」
エリン・ライアン、Climate Action Network Australia、シニア・インターナショナル・キャンペーナー
「世界中の政府が化石燃料危機からの脱出策を模索するために集まっているが、日本はハンドルを掴んでアジアを危険な道へと導いている。AZECに注ぎ込まれているこの非常識なほどの額の資金は、各国や地域社会を、価格変動が激しく環境汚染を引き起こす石炭やガスに縛り付けることを目的としている。その真の狙いは明らかだ。日本は、オーストラリアなどの国からガスを購入し、莫大な利益を得ながら転売できる新たなガス市場を開拓し続けたいのだ。私たちの地域社会は、あまりにも長い間、売り渡されてきた。今こそ、日豪の首相たちがこの局面に立ち向かい、よりクリーンで、より安価で、より安定した再生可能エネルギーの普及に向けて協力すべき時だ。」
リディ・ナクピル、Asian Peoples’ Movement on Debt and Development、コーディネーター
「アジアが現在直面しているエネルギー危機は、化石燃料への依存が、私たちをエネルギーショックへの脆弱性に追い込み、人々の権利を脅かすものだと改めて証明している。公正かつ公平なエネルギー移行が最も急務とされる現在、日本の「POWERR Asia」枠組みは、アジア地域を化石燃料への依存にさらに深く縛り付けるだけである。高市・岸田両氏が化石燃料の利益を推進するためにアジア太平洋地域を巡回している中、我々はアジア各国政府に対し、この枠組みを拒否し、汚れたエネルギーへの依存を終わらせ、公的資金や助成金を今すぐ地域密着型の再生可能エネルギーへと注ぐよう求める。」
ジェリー・アランセス、Center for Energy, Ecology, and Development、事務局長
「現在のエネルギー危機は、フィリピンがLNGに依存することの代償の大きさを浮き彫りにしている。このLNG依存の道筋は、国際協力銀行(JBIC)などの日本の機関によって推進・資金提供されてきたものである。世界のLNG価格が91%も急騰する中、日本が資金提供したこれらのLNG受入設備は、その極端な価格変動をフィリピンの一般家庭に直接転嫁しており、電気料金の高騰を招き、フィリピンの消費者に深刻な打撃を与えている。フィリピンにおける構造的な汚職問題を背景に、こうしたコストは国民にとってさらに壊滅的な打撃となっている。AZEC 2.0を通じて、日本は依然として化石燃料の寿命を延ばそうとしており、気候変動対策と経済の両面において緊急に必要とされている再生可能エネルギーへの真の移行を支援していない。」
波多江秀枝、国際環境NGO FoE Japan、キャンペーナー
「AZECはこれまでも、コミュニティや市民社会の意味ある参加を確保せず、企業利益を優先する『誤った気候変動対策』を押し付けるものとして、海外の市民社会から批判されてきた。現在のPOWERR AsiaやAZEC 2.0の枠組みも、化石燃料産業を含む大企業の利益を拡大させながら、アジアにおけるエネルギー不平等を固定化するものであり、到底容認できない。今回のエネルギー危機により化石燃料依存のリスクが露呈した今、日本政府の対応は極めて恥ずべきものだ。求められているのは、地域のニーズに根差した迅速かつ公正、公平なエネルギー移行への無償支援と、グローバルサウスおよび将来世代に対する責任ある行動だ。」
遠藤諭子、メコン・ウォッチ、政策担当
「気候危機はこの瞬間にも深刻化している。日本政府は化石燃料依存を助長する提案を続けるべきではない。太陽光や風力に素早く移行できるよう各国が連携する提案を打ち出すべきである。それを打ち出せないのであれば、AZECは2.0にアップグレードするどころか、ダウングレードに他ならない。」
編集者向け注記:
- 日本による「POWERR Asia」の発表は、コロンビアのサンタマルタで開催された「化石燃料からの移行に関する第1回国際会議」とほぼ時期が重なった。同会議には、迅速かつ公正で公平なエネルギー移行の実現に向け、50カ国以上が参加した。サンタマルタ現地では、日本がLNGの拡大や、CCS(二酸化炭素回収・貯留)、化石燃料とアンモニアや水素の混焼、バイオ燃料といった「誤った気候変動対策」を推進することで、アジアのエネルギー移行を頓挫させようとしていることに対して、市民団体がアクションを行った。
- 本声明に加え、オーストラリアとフィリピンの市民団体は、高市首相に対し、化石燃料の推進や軍事化を止め、長期に機能するエネルギー安全保障を支持するよう求める抗議活動を行う予定である。
- フィリピン・マニラ(4月30日、午前8:30 – 9:30、在フィリピン日本国大使館前)
- オーストラリア・シドニー(5月4日、午前10:00、シドニーCBD)
- オーストラリア・キャンベラ(5月4日、午前10:00 オーストラリア国会議事堂の外)
- 抗議活動の写真データはこちらのフォルダより閲覧・ダウンロードいただけます。
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連絡先:
ウェング・カヒレス、(weng@oilchange.org)
有馬牧子、(makiko@oilchange.org)(日本語)
渡邉未愛、(mia@oilchange.org)(日本語)