2025年10月26日にクアラルンプールで開催されるアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合を前に、本声明に署名する私たち36団体は、日本の高市早苗新首相とASEAN諸国の首脳に対し、AZECを化石燃料と企業利権の延命手段ではなく、アジア地域の今後のエネルギー移行を加速させる真のプラットフォームにするための措置を講じるよう強く求めます。
AZECは、石炭と化石燃料ガスを段階的に廃止するどころか、石炭火力発電所でのアンモニア混焼、ガス火力発電所での水素混焼、炭素回収・貯留(CCS)など、「危険な目くらまし」となる技術を推進しています。これらの技術では必要とされる規模や速度で排出削減を実現できません。そればかりか、各国を長期的な化石燃料依存に縛りつけ、高額なインフラと債務の負担を強い、同時に再生可能エネルギーへの移行を遅らせます。
日本は「脱炭素化」の名目の下、AZECを利用して東南アジアを化石燃料に依存させ続けています。ASEAN諸国やオーストラリアと署名したAZEC下での数々の覚書(MOU)は、真の解決策ではなく日本の化石燃料技術を推進する内容となっています。懸念されるのは、2023年3月から2024年10月の間に締結された217件のMOUの約30%が、水素・アンモニア(多くは石炭火力発電所に関連)、液化天然ガス(LNG)、バイオマスなど燃料に関するもので、その多くは化石燃料に基づいた技術に直接結びついていることです。
日本がAZECを通じて推進しているLNGとCCSは、財政上およびエネルギー安全保障上のリスクを高めます。LNGインフラは世界的な価格変動に左右されやすく、座礁資産となるリスクを抱えています。一方、CCSは過去50年にわたり失敗の歴史を積み重ねており、現在も世界の排出量のわずか0.1%程度しか回収できていません。AZECは公的資金を浪費することで、アジアの膨大な再生可能エネルギーのポテンシャルへの関心をそらし、この地域のエネルギー移行を妨げています。
私たちはさらに、日本が国内で回収した二酸化炭素をマレーシアやオーストラリアの貯留サイトに輸送・圧入する計画を進めていることにも強い懸念を抱いています。このような行為は、この地域を日本による汚染の投棄場に変えてしまうおそれがあるだけでなく、地域社会に根ざした安価な再生可能エネルギーへの実質的な支援を脇に追いやるものです。
ASEAN各国政府と日本の新政権は、AZECを化石燃料拡大の手段にすることも、化石燃料への依存を深める手段にすることも許してはなりません。むしろ、AZECは以下を行うべきです。
- LNG、アンモニア/水素混焼、バイオマス、炭素回収・貯留(CCS)といった化石燃料に基づく技術への支援を終了すること。
- 公的資金を無償の形で、地域社会に根ざした再生可能エネルギーおよびエネルギー効率化の拡大に振り向けること。
- コミュニティと生態系を尊重し、ASEAN地域が日本の排出した二酸化炭素や時代遅れの技術の受け入れ先として利用されないようにすること。
アジアには世界の再生可能エネルギー移行を主導する潜在性の高い資源があります。しかし、それを実現するには、政治的勇気と近視眼的な化石燃料利権との毅然とした決別が必要です。私たちは、高市首相がクアラルンプールで開催されるAZEC首脳会合の機会をとらえ、真の気候リーダーシップを示すとともに、迅速かつ公正で公平なエネルギー移行と気候正義のための真のパートナーシップとしてAZECを位置づけるよう強く求めます。
署名団体:
Australian Conservation Foundation、オーストラリア
Australian Religious Response to Climate Change (ARRCC)、オーストラリア
Climate Action Network Australia、オーストラリア
Climate Analytics、オーストラリア
Jubilee Australia Research Centre、オーストラリア
Peoples Climate Assembly、オーストラリア
Coastal Livelihood and Environmental Action Network (CLEAN)、バングラデシュ
Dhoritri Rokhhay Amra (DHORA)、バングラデシュ
Waterkeepers Bangladesh、バングラデシュ
Auriga Nusantara、インドネシア
CELIOS、インドネシア
Don’t Gas Indonesia、インドネシア
Eksekutif Nasional Wahana Lingkungan Hidup Indonesia (WALHI)、インドネシア
Institute for Essential Services Reform (IESR)、インドネシア
JATAM、インドネシア
Kanopi Hijau Indonesia、インドネシア
KRuHA、インドネシア
SEMATA Indonesia、インドネシア
Serikat Nelayan Indonesia (SNI) / Indonesia Fisherfolk Union、インドネシア
Trend Asia、インドネシア
Yayasan Bintang Gana Bali、インドネシア
国際環境NGO FoE Japan、日本
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、日本
気候ネットワーク、日本
メコン・ウォッチ、日本
Greenpeace Malaysia、マレーシア
Monitoring Sustainability of Globalisation、マレーシア
Indus Consortium、パキスタン
Center for Energy, Ecology, and Development (CEED)、フィリピン
Solutions for Our Climate (SFOC)、韓国
RE Generation、タイ
The Artivist Network
Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD)
EKOenergy ecolabel
Energy Shift Southeast Asia
Oil Change International