「気候災害と燃料価格の高騰により、『化石燃料への世界的な依存を終わらせる』必要性が誰の目にも明らかになった」- アントニオ・グテーレス国連事務総長
世界で最も裕福な国の一つであり、気候危機への寄与度がトップ10に入る日本は、化石燃料への支援をやめ、各国がクリーンなエネルギーに移行するのを支援する責任がある。
しかし日本は責任を果たすどころか、毎年100億ドル以上を費やして、海外で新規の化石燃料事業を立ち上げ、化石燃料依存を遠い先の未来まで継続させるような、誤った気候変動対策を推進している。日本の取り組みは、気候危機に拍車をかけ、エネルギー安全保障の問題を悪化させ、貴重な時間を浪費している。
気候危機は喫緊の課題である。今年の豪雨はパキスタンに壊滅的な被害をもたらし、国土の3分の1が水没した。フィリピンに超大型台風「ノルー」が襲来し、数千人が避難を余儀なくされた。森林火災も深刻化し、人々を家から追い出し、生態系に壊滅的な打撃を与えている。日本でも、人々は熱波、強い台風、豪雨による被害の拡大に苦しんでいる。
気候危機を緩和するために、私たちは化石燃料への依存をやめなければならない。
しかし、日本は間違った方向に進んでいる。日本政府は脱石炭のための具体的なステップを踏んでおらず、LNGや、石炭と水素やアンモニアの混焼など、脱炭素化に向けた「誤った対策」を推進しており、それは化石燃料の使用を長引かせるものである。これらの技術は、脱炭素化の努力を遅らせ、気候危機を悪化させる。
IEAは、現在のエネルギー危機は、クリーンエネルギーへの移行が遅すぎたために悪化していると認めている。日本が化石燃料を使用する技術を支持し続けていることが、移行が捗らない大きな原因の一つである。
バングラデシュでは、リスクの高い輸入LNGに過度に依存しているため、今後3年間は続く可能性が高い計画停電に悩まされている。欧州の買い手がLNG運搬船にプレミアムを付けているため、バングラデシュはLNGスポット市場における価格高騰によってLNGを調達できないためである。10月上旬には過負荷の送電線が故障し、2014年以来最悪の停電が発生した。国の半分が停電し、病院、道路、インターネットに支障をきたした。日本はバングラデシュの新しい電力部門のマスタープランを起草したが、この計画は化石燃料と誤った対策に大きく依存している。これでは状況が悪化するばかりである。
11月1日、市民団体は、日本政府に対し、化石燃料やその他の誤った対策を支持することをやめるよう求める要請書を提出した。エジプトで開催されるCOP27に向け、日本は真のコミットメントと気候変動対策を示す必要がある。気候変動は緊急の課題である。私たちは日本政府に対し、化石燃料事業への資金供与や誤った対策の推進をやめ、代わりにパリ協定の目標に沿った、地域社会のニーズを満たすクリーンエネルギーに資金をシフトすることを要求する。