石破茂氏が新たに日本の総理大臣に就任しました。前任の首相らが推進してきた誤ったエネルギーおよび気候変動政策を改め、気候を保護し、地域の持続的なエネルギー安全保障を達成するため、石破首相には緊急の行動をとる重大な機会が与えられたのです。
石破首相は自民党総裁選挙中、再生可能エネルギーと省エネルギーの可能性を最大限に引き出すことの重要性を強調しました。また、気候変動によるここ数年の猛暑に懸念を示し、この世界的危機への対処が急務であると同時に、日本のエネルギー自給率を加速させ、化石燃料の輸入に対する過剰な支出を削減する必要性も認識しています。
日本政府、銀行、企業は、国際社会が化石燃料の段階的廃止に向けて前進している中、化石燃料の使用を拡大し、長引かせています。化石燃料は、気候変動や異常気象を悪化させるだけでなく、地域社会、公衆衛生、生態系に有害な影響を及ぼします。日本は、化石燃料の促進から方向転換し、人と地球を第一に考え、化石燃料への支援を終わらせるべきです。
アジア地域と世界が気候とエネルギーの危機に対処しようとしている中、それに日本も貢献するためには、石破首相には以下の6つの行動をとることが求められます。
化石燃料事業への国際的な資金提供を廃止するというG7公約を守る
日本は常に、化石燃料事業に対する世界最大の国際的な公的資金を提供している国のひとつであり、2020年から2022年にかけて、毎年平均69億米ドルを費やしてきました。 G7の一員として、日本は2022年に化石燃料事業に対する国際的な公的支援を終了することを約束しました。しかし、日本はこの公約以降、14の化石燃料事業に対して少なくとも47億米ドルの金融支援を承認しています。さらに、G7のコミットメントに対する日本の解釈は、パリ協定と1.5℃目標に整合しているという限られた場合以外の化石燃料事業に対する金融支援を認めており、公約に反しています。日本は、例外なく海外の化石燃料事業の支援を終了し、他のG7諸国と同様、すでに41の国や機関が支持しているクリーンエネルギー・トランジション・パートナーシップに署名するべきです。
ガスとLNGを拡張する支援を停止する
日本の国内ガス需要は過去10年間で25%減少し、今後も減少が続くと予測されています。しかし、日本はガス市場における優位を維持し、他のアジア諸国にガスを再販売するため、必要以上のLNGを購入しています。気候危機の壊滅的影響を回避するためには、高所得国では2035年までに、世界全体では2045年までにガス発電を段階的に廃止しなければならないことは、科学的に明確です。ガス供給と関連インフラを今拡大することは、座礁資産を生むだけです。バングラデシュやフィリピンなどで昨今相次いでいるガス事業の中止も、ガス依存の経済的・エネルギー安全保障的リスクを示唆しています。また、日本が支援しているモザンビークLNGのようなLNG事業は、残虐な人権侵害とも関連しています。
再生可能エネルギーへの迅速かつ公正な移行を促進する
日本の拙劣な「グリーントランスフォーメーション(GX)」戦略は、LNG、アンモニアやバイオマスと石炭の混焼、水素、炭素回収・貯留(CCS)などの化石燃料ベースの技術に依存しています。これらの技術は、化石燃料の使用を長引かせます。一方、再生可能エネルギーはすでに信頼でき、安定して利用可能であり、より安価な解決策です。日本が主導する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」は、グリーンウォッシュとも言えます。なぜならば日本はAZECアジア地域の脱炭素化を支援するという名目で、これらの技術を推進しているからです。実際には、アジアのエネルギー移行には、化石燃料を使用する多様な道筋ではなく、再生可能エネルギーへの迅速な移行が必要です。ある研究によると、太陽光や風力を含む東南アジアの潜在的な再生可能エネルギーの99%は未開発のままです。
人びと中心で、アクセス・安全保障・気候を優先するエネルギー計画を支援する
国際協力機構(JICA)は、化石燃料への依存を長引かせるようなエネルギー計画をバングラデシュやインドネシアなどの国において策定してきました。これらの計画は、電力需要の過剰な予測を立て、気候変動やインフラ開発の影響を最も受ける人々と協議することなく策定されています。JICAが融資したバングラデシュのマタバリ石炭火力発電所は、現地コミュニティに被害を与え、生活を破壊しました。この事業による電力価格は、太陽光エネルギーよりも高価です。同様に、JICAはインドネシアのエネルギー計画策定を日本の電力会社に委託し、企業の利益を優先しています。日本は、企業利益を優先することより、現地コミュニティのニーズに基づいた、公正かつ強靭で、持続可能なエネルギー計画を支援すべく方針を転換すべきです。
化石燃料への支援を終了させる経済協力開発機構(OECD)の提案に同意する
日本による化石燃料事業の開発は、世界中に禍根を残しています。これらの事業の最前線に立つ現地コミュニティは、健康、生活、生態系への深刻な影響に苦しんでいます。特に、日本の輸出信用機関である国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)は、フィリピン初のLNG輸入基地、米国メキシコ湾岸のフリーポートLNG基地とキャメロンLNG基地、オーストラリアのバロッサガス田など、リスクの高い事業を支援しています。来月OECDで行われる交渉において、被害をもたらす化石燃料事業へのJBICやNEXIのような輸出信用機関による支援を終了するという、欧州連合・カナダ・英国が支持する提案を日本も支持することを強く求めます。
気候資金を拡大し、不当債務を帳消しにする
日本のクリーンエネルギーへの支援に比べて、化石燃料への支援はその3倍です。日本のエネルギー資金支援のほとんどは、無償資金ではなく融資という形で行われており、気候変動に脆弱で経済的に貧しい国々に負担を強いています。経済大国であり、歴史的に最大の排出国のひとつである日本には、その責任を考慮し、気候危機への加担分を支払う義務があります。日本は、気候危機の責任が最も軽い国々が負った債務を帳消しにし、支援対象を化石燃料から再生可能エネルギーに転換させ、コミュニティ中心の再生可能エネルギーのために気候資金を無償で提供することによって、劇的な変化をもたらすことができます。