数十カ国から集まった数百の市民社会組織は、G7が途上国に対して化石燃料と誤った気候変動対策の推進をやめるよう要求するため、世界各地の街頭に繰り出しました。
広島で開催されているG7サミットに合わせて、22カ国で約50のアクションが行われました。その主な矛先は、化石燃料であるガスの開発拡大や、アンモニア、原子力、二酸化炭素回収・貯留(CCS)といった化石燃料由来の誤った気候変動対策技術を推進していることから、気候の悪役とみなされている主催国の日本です。
これらのアクションは、1週間続く「グローバル・ウィーク・オブ・アクション」の一環として、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、米国、ウクライナなど、世界中で行われました。日本をはじめとするG7諸国に対し、気候変動に対する抜本的な対策を講じ、化石燃料事業への支援を止めるよう圧力をかけるものです。
アクションの写真:
This week, activists mobilized roughly 50 actions across 21 countries to pressure Japan to stop derailing the global energy transition and promoting fossil fuels in the lead up to G7 Summit in Hiroshima from May 19-21. Check out some of the actions to stop #JapansDirtyG7 below ⬇️ pic.twitter.com/UY6ea42ky6
— Oil Change International (@PriceofOil) May 18, 2023
DORAEMON’S CAMEO
Environmental activists hold placards next to Japanese anime character during a protest organized in front of the Japanese embassy to call on Japan, host country of the G7 Leaders’ Summit, to accelerate the transition to renewable energy.
📷 AFP/Ted Aljibe pic.twitter.com/doKjJGHTkg
— Philstar.com (@PhilstarNews) May 18, 2023
With two days to the #G7Summit in Japan, we took our message for Japan to stop fueling the climate crisis to the Japanese Embassy in Washington. @SierraClub @foe_us @PublicCitizen #JapanLovesDirtyEnergy #FossilFreeJapan
Sign the petition: https://t.co/QZpxzOrTG7 pic.twitter.com/8Z3JAwQHdO— Mighty Earth 🌍 (@StandMighty) May 17, 2023
🚨 🚨 Here’s the #FossilFreeJapan ad in today’s Asian edition of the @FinancialTimes demanding Japan stop derailing the global energy transition and stop prolonging fossil fuel-use! As the host of G7 meetings that start tomorrow, Japan must put people + planet above dirty energy. pic.twitter.com/WqIexDYhpZ
— Oil Change International (@PriceofOil) May 18, 2023
日本が批判に晒される理由は、石炭火力発電所でのアンモニア混焼、水素、原子力、CCSなどの「グリーントランスフォーメーション(GX)」戦略に、1兆1千億ドルもの公的・民間資金を動員しているからです。実は、これらの技術では、日本やアジア全域において、目標とする二酸化炭素の排出削減に貢献しないという指摘があるのです。アンモニアや水素の多くは化石ガスから製造され、そのライフサイクルを通じてメタンガスが発生します。
日本を標的にしているのは市民社会だけではありません。他のG7諸国からも、日本はG7主催国の立場を利用して、化石燃料まみれなエネルギー戦略をアジアや世界各地で推進し、世界のエネルギー転換を頓挫させていると批判されているのです。
岸田首相は、今週末のG7首脳会議に先立ち、アフリカ4カ国を訪問しました。「人への投資や成長の質を重視する」と謳い、G7がアフリカ地域との関係を深めることを意図しています。今回の訪問では、モザンビークのガス開発事業の復活を支援する協定に署名し、日本企業による液化天然ガス(LNG)への投資拡大を促しました。
日本は、国際的なガスや化石燃料事業に対する世界最大級の公的支援国としても注目されています。2020年から2022年にかけて、ガス、石油、石炭の新規事業に平均69億ドルを費やしています。また、日本は危険なLNG輸出ターミナルに対する世界最大の資金提供国であり、2012年から2022年にかけて約400億ドルを費やしています。
しかし、悪いのは日本だけではありません。市民社会組織は、気候変動対策が急務であり、グループのリーダーシップが必要であるにもかかわらず、G7が化石燃料への資金提供を停止するという昨年のG7の公約を達成できていないという事実も強調しています。
科学者たちが今週、温暖化を1.5度に抑えるための扉が急速に閉ざされつつあると警告したにもかかわらず、G7は化石燃料に何十億ドルも費やし続けています。世界のエネルギー監視機関である国際エネルギー機関(IEA)は、2050年のネットゼロの道筋では、新しい油田やガス田、LNGインフラは必要ないとしています。
例えば、最近のオイル・チェンジ・インターナショナル(OCI)の分析によると、2020年から2022年の間に、G7は新しい化石燃料プロジェクトに730億米ドルの公的資金を注ぎ込み、これは同期間のクリーンエネルギーへの支援の2.6倍に相当します。
英国、カナダ、フランスは、この化石燃料事業に対する投融資を終わらせるという公約を実現しましたが、日本、イタリア、ドイツは実施していません。さらに、他のG7諸国による危険な後退の動きも見られます。 ドイツは最近、英国やフランスがすでに拒否したガス事業への公的支援を支持するよう、他のG7メンバーに働きかけたことが暴露されました。
また、アフリカ、アジア、米国の団体を含む181の市民社会グループからG7に書簡が送られ、世界の指導者が新しい石油・ガス生産とLNGインフラ事業への投資の扉を完全に閉じることを要求しています。
その代わりに、G7は、何十億もの公的資金を化石燃料から、よりエネルギー安全保障が強化され、持続可能で、安価な未来を築くことができるクリーンエネルギー事業にシフトするよう求められています。
OCIのアジア・プログラム・マネージャーであるスザンヌ・ウォン氏は、G7が始まるにあたり、日本の岸田首相は「人々や地球の健康と安全よりも日本企業の利益のためにG7主催国の立場を」利用している、と指摘しました。また、「日本は、化石ガスやその他の汚れた化石燃料由来の技術の拡大を推し進めることで、世界のエネルギー転換を脱線させることをやめるべき」と述べています。
気候行動ネットワークのエグゼクティブ・ディレクターであるタスニーム・エソップ氏は、「G7は、すべての化石燃料の段階的廃止に向けた明確な道筋を示し、国内外におけるさらなる生産拡大を直ちに停止することを約束しなければならない」と述べました。
また、FoE Japan事務局次長の深草亜悠美氏は、「日本はG7主催国として、化石燃料の完全な段階的廃止を約束し、G7で石炭や化石燃料を段階的に廃止する取組を妨害することをやめるべきである」と述べています。
そして、ウクライナ戦争を背景に、世界中で行われたアクションの中、キエフからG7へのメッセージもありました。
Message from #Kyiv to @JPN_PMO @kishida230: the path to #energysecurity and #peace requires cutting down the dependency on russian #fossilfuels. We call on #Japan to stop funding war and fulfill the #G7 pledge to stop fueling climate chaos. #JapansDirtyG7 #SoakedInFossilFuels pic.twitter.com/lEzg171thY
— RazomWeStand 🇺🇦 (@RazomWeStand) May 18, 2023